アパレル接客でニーズの引き出し方はYesとNoで答える質問「クローズドクエスチョン」をすること
アパレル店員の接客販売において、お客様のニーズを引き出すのは必要不可欠です。
そして、ニーズを引き出す際に多くはお客様に質問をします。
ここで曖昧な回答ができてしまう質問(色々とか、悩んでしまう回答)をしてしまうのはタブーです。
その曖昧な回答が出てしまう質問とはどういったことか?
曖昧な回答が何故いけないのか?
また、曖昧な回答ではない質問とはどうすれば良いのかについて解説致します。
「オープンクエスチョン」は曖昧な回答になってしまい、お客様からニーズを引き出せません
通称「オープン質問」と呼ばれる質問ですが、こちらの質問をお客様にしてしまうと、
といった曖昧な回答になってしまいます。
幅広い回答をして頂ける結果、販売員自身が想像しえなかった回答が返ってくる。
具体例として、
どなたが着用されるのですか?
いつ着用されるのですか?
どこで着用されるのですか?
どういった目的で着用されるのですか?
どのようなデザインが欲しいのですか?
といった、
Who:誰が(お客様本人か着用するのか、子供や恋人が着用するのか)
When:いつ(着用する時期や時間帯)
Where:どこで(カジュアルな場面か、フォーマルな場面か)
Why:なぜ(どういう目的なのか)
How:どのような(デザインやサイズなどの欲しい商品)
を駆使する質問方法です。
お客様との会話を広げ、ニーズを的確に得る際に効果的である接客技法ではあります。
しかしこの質問をしてしまうと、
どなたが着用されるのですか → え?私ですけど
いつ着用されるのですか → まぁ色々な時にですけど
どこで着用されるのですか? → うーん、色々な時に
どういった目的で着用されるのですか? → 目的?特には無いですけど
どのようなデザインが欲しいのですか? → 特に決めてないです
といった、一部の質問以外は歯切れの悪い回答となってしまい、会話やニーズが把握しきれない可能性が多々あります。
これがスーツやパーティードレスといった、最初から目的ありきのファッションなら会話が成り立ちます。
しかし、カジュアルワンピース・チノパン等といった、幅広いシーンで活躍できる衣料品となると、そうはいきません。
お客様の大半は会話が苦手で信頼関係がありません
お客様の性格(外交的で会話が好きな人)や信頼関係によっては問題無い場合があります。
ですが、大半のケースでは初対面で会話が嫌い(話かけられたくない)人が多いです。
信頼関係も無いうえに会話が苦手な人にオープンクエスチョンをしても、効果は薄いでしょう。
そもそもオープンクエスチョンのデメリットというのは、
・思いがけない回答が来ることがある
・信頼関係が必要な場面が殆ど
といったものがあります。
特にお客様がサッと逃げてしまう、消えてしまう場合にオープンクエスチョンはタブーです。
言ってしまえばこのオープンクエスチョンは「お客様の心理に踏み込み過ぎていて、不快感を与えてしまう」といったリスクが高いのですよ。
ニーズの引き出し方はYesとNoとで答えられる「クローズドクエスチョン」をすること
信頼関係の無いお客様においてオープンクエスチョンは良くないというのは良く分かった。
では、オープンクエスチョン以外でどうすればニーズを引き出せば良いのか。
この場合、YesとNoで答えられる「クローズドクエスチョン」を行うようにして下さい。
具体的には、
といった、YesかNoかで回答できる質問がベストです。
なぜこのクローズドクエスチョンが良いのかと言うと、
・信頼関係が少なくても答えてくれやすい
・お客様が答えに悩まなくて済む(考えなくて済む)
といった特徴がある為です。
特にこの質問をする場合は、より細かで具体性のある質問をすることが良いですよ。
ではなく
といった、基本的にはどういったシルエットやデザインのアイテムを着用するのかを聞くのが良いでしょう。
その通りです。
つまり、複数回質問をする必要があります。
例として、トップス(ニット)をお探しの30代女性のお客様がいらっしゃったと仮定します。
以下の質問をしたと仮定します。
↓
高いヒールをよく履きますか?
↓
シルエットラインがぴったりとしたトップスが好きですか?
↓
シンプルでベーシックな色が好きですか?
もしこれで全てYESと回答したら、
というのが想像できますね。
理由として、
高いヒール:きれいめ・大人め・かっこいい系
シルエットラインがぴったりとした服を好む:細身のきれいめ・かっこいい系
シンプルでベーシックな色を好む:保守的で合わせやすい色合いが好き
こういった情報を足していくと、
・タイト・シルエットラインに自信がある
・無難にコーディネートしやすい柄や色を好む
といったニーズを予測できます。
そのニーズに合うとするのであれば、シンプルなデザインの黒・紺・茶系の無地セーターをチョイスするのが無難でしょう。
例に出すと以下のような画像です。
以下の画像は確実に違うことが想定できます。
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例として、先程の質問で予測できるお客様のニーズを以下に表しました。
水色の線が引いてある箇所はYESと回答した項目で、何も引いていない箇所はNOと回答した項目です
質問1 | 質問2 | 質問3 | 質問4 | 判定 |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | 無地で大人っぽい黒・紺・茶系の細身のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | 柄物orちょっとアクティブな色合いの大人っぽい細身のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | 無地で大人っぽいがゆったりデザインの黒・紺・茶系のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | 柄物だけど大人っぽいゆったり目のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | カジュアルデザインだけど無地の黒・紺・茶系の細身のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | カジュアルかつ柄物orアクティブカラーの細身のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | カジュアルかつ柄物orアクティブカラーのゆったり目のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | ゆったりめの柄物ニットor追加で質問(情報不十分) |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | スカートやボトムスでも合わせやすい無地でシンプルな細身のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | スカートやボトムスでも合わせやすい柄物の細身で大人っぽいニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | スカートやボトムスでも合わせやすい無地の黒・紺・茶色のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | スカートやボトムスでも合わせやすい柄物の大人っぽいニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | スカートやボトムスでも合わせやすい細身でシンプルなニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | スカートやボトムスでも合わせやすい細身の柄物・アクティブなニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | スカートやボトムスでも合わせやすいゆったりめの黒・紺・茶色のニット |
スキニージーンズ | 高いヒール | タイトめのトップス | シンプルでベーシックな色 | 質問不十分の為、追加質問 |
水色の項目:YESと答えたもの | 色が無い項目:NOと答えたもの |
このように、複数回の質問を重ねることにより、
というのが予測でき、よりお客様に不快を与えずにニーズを把握することができるのです。
高いヒール
シルエットラインがぴったりとした服
シンプルでベーシックな色合い
の質問を仮定としましたが、これが
スニーカー
メンズライクな服
淡い色合い(中間色)
といった質問でも良いですし、質問をバンバン追加するのもアリです。
基本的にはお客様の今着ている服装で判断し、
というのをぱっと思い浮かべて頂けたら幸いです。
最初は手こずるかも知れませんが、慣れるとよりお客様のニーズを把握しやすくなります。
曖昧な回答をした場合
クローズドクエスチョンで
といった曖昧な回答をした場合は、Noと判断して別の質問をしましょう。
理由は単純で、YesかNoかで答えられる質問に対して曖昧というのは
「着用する(身に付ける)けど、そこまで着ない」という、着用頻度がそこまで多くないと判断できる為です。
とは言え、着用する頻度は少なからずあるので、質問した服に対してでも合わせられる商品を提供するようにして下さい。
質問し過ぎると尋問されている感じに受け取ってしまうのでご注意を
クローズドクエスチョンのデメリットとして、質問し過ぎるとお客様が尋問させられているように感じるので注意して下さい。
回数としては4回位が目安ですが、多くても6回位に留めておきましょう。
もし4~5回位でニーズを絞り出せないようでしたら
といった感じで、オープンクエスチョンをしてみて下さい。
4~5回聞いてもニーズの把握が不明であれば、逆にお客様から具体的なニーズを教えてくれる可能性が高いです。
二者択一の質問で絞り込みをかけ、よりニーズを明確にする
クローズドクエスチョンの応用で
といった、ファッションアイテムが近い二者択一の質問をするのも、お客様のニーズを引き出すにおいて非常に有効です。
特に最初の質問においてはよりニーズを明確に絞り込めるので、おすすめですよ。
例として、先程の
という質問に対して、ボトムスであれば、さらにボトムスのサイズ感についての質問を(YESかNOかで答えられるクローズドクエスチョンを)。
スカートであれば、さらにスカートの丈の長さはどのくらいかの質問をするのがよりニーズが把握しやすいですよ(こちらもYESかNOかで答えられるクローズドクエスチョンを)。
クローズドクエスチョンと二者択一の質問の両方を利用して、よりお客様のニーズを把握できるようにしましょう。
なお、
といった様に、同じジャンルのアイテムのシルエット(デザイン)の二者択一もアリですよ。
まとめ
改めて、アパレル接客でお客様のニーズを引き出すコツとして
・クローズドクエスチョン(YESかNOかで答えられる質問)を行う
・二者択一の質問を併用する
・クローズドクエスチョンでも質問のし過ぎは避ける
といった内容を覚えて実践して頂けたら幸いです。
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